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ルーン文字 元祖アルファベット!解読すると呪われるってホント!?


ルーン文字というのは聞いたことありますか?私もあまり聞いたことがありませんでしたが、調べてみると、おまじないや幸運を祈ったり、誰かを呪うために使われたともいわれています。

現在でも、おまじないに使う人はいるそうです。

ルーン文字は、ヨーロッパが起源と言われ、アルファベットの元祖となった貴重な文字としてその名を残しています。

そんな謎で曰く付きの文字についてちょっと覗いていきます。

1.デンマークが発祥

ルーン文字の成立は、西暦100~200年といわれ、現存している最古の碑文は3世紀まで遡ります。碑文の長さとしては、1語のみの短いものから数十語にわたる長いものまであります。ルーン文字のアルファベットは、最初の6文字とって「フサルク」と呼ばれます。この文字で記された碑文は、北はスカンジナビアから、南はルーマニア、東はポーランドウクライナ、西はアルザスロートリンゲンからロンドンに至る広い領域に分布しています。

ルーン研究の第一人者とされるモルトケによれば、ルーン文字は、ラテン語のアルファベットにゲルマン語の表記に必要な若干の新文字を追加して編成したものだそうです。実際、この文字は当初、木に刻むことを念頭にデザインされたと考えられています。書き方は、左から右、右から左のどちらでも良いです。

ルーン文字の発祥地について、モルトケラテン文字起源説に基づき、諸般の事情(最古の碑文がデンマーク南部に集中している)を考慮した結果、デンマークルーン文字発祥の地であると結論づけています。

北欧神話では、最高神オーディン世界樹に9夜にわたり首を吊って、槍が身体を貫き、生死を彷徨う中でルーン文字を掴み取ったと、詩のエッダではされています。

ルーンの語源は、ドイツ語の「ささやく」とされていて、直線が数多く使われているのが特徴です。

2.文字構成

共通ゲルマン フサルク

デンマークとシュレスビヒ・ホルシュタインで見つかった最も初期のルーン文字は、全て持ち運びできる物品に記されており、1世紀に遡ります。ゲルマン人大移動の時期に属し、中央ヨーロッパの至るところで発見されています。共通ゲルマン フサルクは、24のルーン文字から成立します。

デンマーク型フサルク

デンマークでは、8世紀に24字母のフサルクが16字母に減ずるという根本的な変化が生じました。これは後に「デンマーク型」フサルクと呼ばれ、10個のルーン文字は多少なりとも元の形を残しているものの、k、h、mは異なる形を獲得しました。数種類の文字は、スカンジナビア語の音価を持つようになりました。

レーク ルーン文字

ノルウェーと南スウェーデンにおいては、さらに簡略された16字母のフサルクが9世紀と10世紀に用いられました。主に「スウェーデンノルウェー型」又は「短枝」ルーン文字として知られています。

ノルウェー型フサルク

現存するルーン文字碑文の大多数が属するバイキング時代を通じて、デンマーク型とスウェーデンノルウェー型のフサルクの入り混じったものが、11世紀初頭からノルウェーにおいて出現しました。

中世のルーン文字
11世紀以降のスカンジナビア用法においては、異なる音素を区別しようとする意識的な試みがなされました。これは、「付点」ルーン文字として定着しました。

アングロサクソン型フサルク
アングロサクソン人は、ブリタニアに共通ゲルマンフサルクの一種をもたらしました。ただ、スカンジナビアでの変化とは逆に、ルーン文字の数はアングロサクソン人のイングランドでは増加しました。始めの方は28個に、最終的には31個が碑文に用いられました。この変化には、アングロ・フリジア語の過渡期を経て、古英語へと向かう移行における韻律変化が反映されたものによります。

3.ルーン文字の使われ方

古代ヨーロッパでは、木や石、骨などに文字を彫りつけ、魔除けや願望祈願を行っていました。ナイフなどを使って固いものに刻みやすいように直線が多く使われていて、木目との違いをはっきりさせるため、横線がなく、縦線と斜めの線だけで構成されています。

読み書き用の文字として日常的に使われていました。伝達手段として使われたり、詩を書き留めるために使用されていました。

ルーン文字は、刻むことだけでなく、それぞれの持つ色に染めたり、いくつかの文字を並べたりすることで、異なる効果を生むことが出来るといわれています。

4.ひと文字だけで効果を発揮

ルーン文字には固有の意味があり、長々と文字を物に刻み込むことは、ルーン文字の本当の使い方ではないのです。

正しい場所に正しい方法で刻み込むことで、たったひと文字のルーンが、絶大な力を発揮するようになるのです。ひと文字刻むことで、突然の時にも簡単に使うことができます。

しかし、ルーン文字は正しい方法で彫られないと、強力なパワーを発揮することが出来ません。残念ですが、その方法というのは残されているのが少なく、多くは名前や効果だけしか伝わってきません。現在、残されているルーン文字は意味のない暗号と化してしまいました。

5.占いと誕生日の関連

ルーン文字といえば、占いを思い浮かべる人もいると思います。また、誕生日によってそれぞれ違った意味合いを持つので神秘的です。ここでは一部を挙げます。

フェオ 6月29日ー7月13日(家畜)
家畜は財を意味してます。未来へ命や可能性を紡いでいく資源です。自らが何かを始め、誰かに受け継ぐ力を持っています。

ウル 7月14日ー7月28日(野生牛)
古代の野生牛は荒々しく強力なエネルギーを意味します。厳しい環境でも生き抜く力を与えられています。強い忍耐力と意思があります。

ソーン 7月29日ー8月12日(巨人)
潜在的な衝動を意味します。人とは違った輝きがもたらされます。

アンスール 8月13日ー8月28日(神)
知恵そのものです。高いコミュニケーション能力と知性がもたらされています。

ラド 8月29日ー9月12日(車輪)
太陽の戦車を意味します。好戦的で理想に向かって突き進んでいるかもしれません。次の目標に向かい、旅を続けていくでしょう。

ケン 9月13日ー9月27日(たいまつ、炎)
燃え上がる力を意味します。エネルギーや可能性を秘めています。

ギューフ 9月28日ー10月12日(ギフト)
神からの贈り物である才能を意味します。はっきりしないことが心の豊かな心が導く答えです。

ウイン 10月13日ー10月27日(喜び)
喜びとは幸福を表しています。美しいものに心を動かされています。

ハガル 10月28日ー11月12日(ヒョウ)
複雑な心の状態とそれの洞察力がもたらされています。苦しい状況でも耐えられる心を持っています。

ニイド 11月13日ー11月27日(必要性)
潜在的な欠乏感から、人生では物事の真理を知る旅をしています。誰よりも人の痛みを知っています。

イス 11月28日ー12月12日(氷)
氷の下に無限の可能性を秘めています。1つのことで大成する可能性を秘めています。

ヤラ 12月13日ー12月27日(収穫)
一定の周期で物事の達成を意味します。何かを完成させ、次に再び生み出すための力がもたらされています。

6.禁止される説も

ルーン文字は神秘的な面を持っている反面、そうではない面も併せ持っています。それは、ナチスドイツとの関係です。

ルーン文字のSSは、国家社会主義体制でのホロコーストに関与した親衛隊が、ユニフォームに身につけるバッジとして使用していました。

ルーン文字のオダルも、ナチス時代にヒトラーユーゲントや親衛隊によってバッジとして用いられました。

この事実を踏まえて、スウェーデン政府が、ネオナチとの深いつながりを懸念して伝統的なルーン文字を禁止する可能性があるのです。これには賛否両論あります。

7.まとめ

調べていくうちに明らかになるどころか、だんだんと奥に吸い込まれていきそうになりました。それくらい、たったひと文字でも複雑な意味が込められているのですね。

一覧表もあったのですが、書いている私自身が混乱していきそうだったので止めました。ただ、古代ヨーロッパでこんなに普及していたとは思いませんでした。見ているとアルファベットにも似ていると感じました。

映画「ミッドサマー」は、まさにルーン文字の映画ですよね。映画を見たほうが、ルーン文字に対して親近感が湧いてきます。

ひと文字にかける思いは、他の文字よりも人一倍強いことが、微力ながら分かりました。文字について調べていくのもたまには良いことかもしれません。


参考文献
地球ことば村