ブッシュ・ド・ノエルといえば、クリスマスシーズンに食べる、あの美味しいケーキですよね。フランス語で「ノエル」はクリスマス、「ブッシュ」は木や丸太を指します。そんな木の幹や切り株に例えられて名付けられたそうですが、なぜこのような美味しくもあり、不思議な形のケーキが誕生したのでしょうか。
その生い立ちと歴史について探っていきます。
1.北欧の祭り説
北欧では「ユール」と呼ばれる冬至祭があるのですが、この祭りはキリストが生まれたクリスマスイブから12日後までの期間に行われるものです。「ユール・ログ」と呼ばれているユールの丸太の火が燃え続けていると、その1年は幸せになれると言い伝えられてきました。
薪には魔除けの効果があったり、燃やした後の灰は畑の土に戻すと豊作になる、と当時の人々の間では、神聖なものとして信じられてきました。
そんな丸太をイメージして出来上がったのが、ブッシュ・ド・ノエルでした。
パリのケーキ職人たちが「ユール・ログ」を作り、今のブッシュ・ド・ノエルとして定着していきました。
2.薪を燃やす伝統説
年末に薪を燃やすことで、来年の厄除け(やくよけ)をしようという伝統です。キリスト教圏では、薪を燃やして厄を払います。日本版で例えると「年末の大掃除」ということになります。
実は、燃やすことにも伝統的なやり方があったそうです。クリスマスに薪を燃やす時は、とにかく燃やし続けることが大切だとされてきました。火を絶やさないようにするためです。1本の薪を12月24日から1月1日まで終わることなく燃やすのです。
ここで注意すべきなのは、薪を燃やす場所は屋外ではなく、居間にある暖炉で燃やし続けないといけないことです。
また、複数の薪をくべるのも禁止されていました。1本の大きい薪を燃やし続けるのです。そのため、大きさや硬さがとても大事で、大きくて古い木が重宝視されていました。
木が太くなるためには年月が必要で、より引き締まった硬い木であることも大切です。薪を燃やし続けて、灰がたくさん出来れば新年は豊作ともいわれています。
また、薪が燃える火で壁に人影ができたら、家族の誰かが死ぬという言い伝えもあります。また、来年の豊作や健康を祝う縁起物でもありました。
3.貧しい青年のクリスマスプレゼント説
この由来には、貧しい青年が恋人へのクリスマスプレゼントとして、せめてもの思いを込めて薪一束を送ったという話です。
そのお話をモチーフにして、薪をモデルにしてケーキを作ったのが始まりだというのです。
4.まとめ
ブッシュ・ド・ノエル。その華やかな見た目の裏側に、昔ならではの伝統が色濃く残っていたことが知れました。単なる木ではなく、1本にかける強い思いから生まれてきたんだなと感じました。
食べる時は、何となく美味しそうだから食べようとするだけでなく、こうして昔の由来も知っておくと、より味わって食べられると思いました。