オモシロ世界史百科事典

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黒死病 欧州の1/3の命を奪った恐るべし化け物の正体を明かす!


黒死病は、歴史の教科書で、中世ヨーロッパでの疫病として聞いたことのある人は多いと思います。別名でペストといいます。しかし、この黒死病は、治療法もよく分からないままにヨーロッパ全土に広がってしまいました。

その死者数は、当時のヨーロッパ人口の「3分の1」が亡くなったともいわれています。

その知られざる黒死病について解き明かしていきます。

1.黒死病とは

1347年、地中海の港に停泊した大型の船から「ペスト」が発生しました。荷物に紛れて上陸した「ネズミ」についた病原菌を持つノミが原因とされています。これらがヨーロッパ中の港で起こった結果、1347年-1351年にかけて感染爆発(パンデミック)が起こりました。

パンデミックは史上最悪の規模であり、ヨーロッパの人口の3分の1の人が命を落としました。

1665年のロンドンのパンデミックでも規模は大きかったそうです。3番目のパンデミックも19世紀から20世紀まで続きました。

2.引き起こされる症状

黒死病とは、ペスト菌により引き起こされる病気のことです。ペスト菌は、ペストに感染したネズミやノミが保有する細菌です。

発症すると、リンパ節の腫れや発熱などの強力な症状が見られ、その進行具合により最悪、死に至るケースもあります。

ペスト菌は本来、ネズミなどのげっ歯類の間をノミが媒介する感染サイクルを形成しています。なので、人がペスト菌保有するネズミに触ってしまったり、感染したノミに噛まれてしまうと人への感染が成立します。

また、ペスト菌の患者から拝菌されて空気中を漂い、それを吸い込むことによっても感染します。

ペスト菌は無治療だと、ほぼ命に関わります。それくらい強い毒を持っています。発症すると高熱が生じます。そして、様々な部位に出血傾向が引き起こされ、肌が黒ずんでいき亡くなってしまいます。そのため、「黒死病」として恐れられていたのです。

3.黒死病用のマスク


17世紀のヨーロッパでは、黒死病の治療に当たる医師は、独特な防護服を身に着け、鳥のくちばしのようなマスクを身に着けていました。

なぜこんなに不思議な形のマスクなのかというと、黒死病の本質を理解出来ていなかったからです。

このマスクは、17世紀のフランスの医師、シャルル・ド・ロルムが考案したとされています。ルイ13世を治療したことでも知られています。

彼は、香料入りのワックスを塗ったコート、ブーツとつながる短めのズボンなどを書き記しています。

中でも、目を引いたのはマスクです。黒死病医師はゴーグルとマスクを着用していました。マスクの鼻には中に香料を入れていました。クチビルに仕込んだハーブの香りを、吸い込む空気にまとわせることが出来ました。

4.猫がひと活躍


ヨーロッパで猛威を奮った黒死病は、なぜか日本ではそれほど流行りませんでした。日本で黒死病が確認されたのは明治時代になってからです。

北里柴三郎がこのペスト菌の治療方法を発見しました。

そして、日本の伝染病研究所ではあることを実行しました。それは「猫」の導入です。感染源のネズミを退治するために、各家庭に猫を飼うことを推奨したのです。ネズミのノミは猫には移らず、黒死病に感染しないからです。猫がネズミを退治してくれます。

黒死病が流行った東京では、役所がネズミ1匹を5銭で買い上げたそうです。この値段は、当時のそばの値段よりも高かったそうです。こうして、昭和時代には日本から黒死病は無くなったとされています。

5.まとめ

黒死病が流行ったのが中世であり、不衛生な時代なので、感染が広がったのかなと思いますが、やはり現在の新型コロナウイルスといい、ウイルスは侮ってはいけませんね。

ヨーロッパで流行ったウイルスなのに治療方法を発見したのが北里柴三郎で、しかも日本人とは驚きました。

それにしても、マスクなど当時の人々の知恵は見ていてユニークでしたね。今でも、このクチバシマスクは売られているそうです。

しかし、ウイルスは収まっても完全に消えるわけではないとニュースで報道していたので、何かしらの対策は必要だと思いました。